
今、政治経済の向かっている激変とは何なのか
今、政治経済の向かっている激変とは何なのか

要 旨 :
1 .国際情勢の変化をどう見るか
激変を予想していなければ,情勢の急変でうろたえるばかりになる
国対国でも個人間でも、交渉で勝つ鉄則 相手が圧力と感じるものを持ってこそ、交渉で有利に立てる
◯ 中国の存在感の底にある経済発展と軍事力
報復が報復を呼ぶ、米中貿易戦争の波及
中国社会の不安定性(一見安定して見えるが)―少数民族問題を含めて―
中国の研究開発支出は急増している
(特に、今後の情報社会の命運を握る、量子暗号の開発をしている)
引き続き北朝鮮を自国の衝立にしておきたい、「善意の仲介者」の中国
新興国の信頼はアメリカから中国へ
◯ 北朝鮮非核化問題 2041 年前後の激変まではすっきりしない状態がつづく!
国際的な交渉の主導権を取りたい北朝鮮
米朝首脳会談の中止・実施の問題は長期化せざるをえない
核実験をやめて、核兵器を放棄出来るかが焦点
(もし、放棄しても中短距離ミサイルは保有する
核兵器を放棄したリビアのカダフィ政権やイラクのフセイン政権は崩壊した)
サイバー攻撃部隊は 6000 人
アメリカからの声「日本は拉致問題に拘るが、東京にミサイルを打ち込まれる
ことの方向が問題ではないのか」
◯ 宥和策による、妥協妥結が根本理念の韓国文大統領
就任前から南北宥和の策を練っていた、文大統領
南北朝鮮が宥和すると、共通の敵は日本になる
解決は長引く
◯ 日本は福沢諭吉の「脱亜論」の"中朝は弱く貧しい国"の観念を持つべきでない

◯ EU の結束力は弱まっている。各国に民族主義的反 EU 勢力が台頭
一貫して、ロシアへとの距離や対応が一致しない内部矛盾を抱えている
◯ アメリカのトランプ政権はアメリカの利益中心主義だからこそ支持率が持続している
米朝首脳会談の動きによっては、日韓の米軍の縮小と日本タタキの可能性も
オバマ前大統領のリベラル方向はアメリカ人のプライドとは遠いと見られた
アメリカ人の好戦性は続いている(米ビュー研究所の昨年 11 月の世論調査では、北
朝鮮への軍事力肯定の意見は 84%)
第三次産業の中のサービス業が全産業に占める比率は 80%になっている
アメリカでのシェールオイル革命により、アメリカと中東産油国の関係は弱くなっている
ウォール街はドル高を望む、貿易産業はドル安を望む。アメリカのジレンマ
世界各国のドルでの外貨準備高は 2001 年の 71%から、現在 61%に。基軸通貨の地位後退
2.フランス革命以来の世界の波動は 50 周期で変動してきたが、次は 2040 年前後に迫っている
日本では、応仁の乱(1467)から王政復古(1867)までちょうど 400 年。
そこから現在までちょうど 150 年。
フランス革命から 251 年が次の 2041 年

近現代社会の開始はフランスの市民革命。その歴史的波動(景気変動ではなく)はほぼ 50 年周期のうねり
になっている。50 年と言えば、一世代の活動期間とも言える。現代の立地点の確認を。奇しくも、1789 年のフランス市民革命から 1989 年のベルリンの壁の崩壊までがちょうど 200 年というのが、歴史の偶然とは言え興味深い。こういうグローバルな視点に立った見方は日常生活にますます追われる現代には是非必要な視点だ。
上図は 50 周期で激変の生じてきた、世界の波動を示している。これは規則的である。近代の前史にはポ
ルトガル・スペイン・オランダの商業覇権の争奪があった。現代に入って、フランス・イギリス・ドイツ・ソ連・アメリカの順に世界史のウネリを作られてきた。
第二次大戦直後、アメリカは一国で世界の金保有の 70%、鉱工業生産の 53%を占めていた。
現在は中国の旺盛な経済・軍事活動による台頭とアメリカの相対的地位低下の中で、世界的に理性的な歯止めが効きにくい状況になっている。戦争と恐慌の暴発によるこの波動の決着は 2040 年付近で生じざるをえない。現在はそれに向かう醸成期である。
我々は今までに経験したことのないような、突発的で大規模な変化に向かいつつある。
① 近代社会に入ってからの 50 周期の波動は次に 2040 年付近で激変(原爆戦・自然災害)を迎える。
② 50 周期の社会変動の根本に大規模な産業革命が 3 度あった。IT 革命の進行はあと 50 年は進む。この中で、中国が技術革新や発明で成果を上げてくることが予想される。景気変動はかつて、10 年周期
で不況が発生していたが、これが消えて短期 5 年周期で動いている。これは情報化を根本にした IT革命の進行が動因になっている。日本はどうしても新たな巨大成長をしなければならない。ますます経済が不安定性を増す中で、所得格差と資産格差の広がりがあげられる。これは犯罪や政治不安の要因である。日本の公平性はまだ高いが、アメリカでの格差は世界最大。我々の工夫と才覚が欠かせない。
③ 世界の中で、日本の相対的地位が保ててきた重要な要因は近世より教育が民衆に普及してきたこと
にある。今は豊かさに伴って生じてきた教育問題を知育・徳育・体育の新たな次元での追究で克服し
ていく必要がある。
④ 大国(米・EU・日・中・露)間の攻防・合従連衡と対立。さらに、北朝鮮や IS に関係した戦争。
⑤ 南極の棚氷が崩落しつつあるが、地球温暖化による異常気象の大規模化が生じる。世界の大都市の
浸水が心配される。
こうした中で、日本社会特有の協力意識や勤勉、繊細さが問われている。知力と体力の発揮が必要。
日本の歴史の特徴は(どの他国とも異なり)過去との決定的断絶を避けながら、歴史を重ねてきたことに
ある。日本史ではこの持続性が維持されてきた。建国以来の競争原理の国であるアメリカとは異なる。