日本人の食生活と病気・感染症の歴史
日本人の食生活と病気・感染症の歴史
○ 1946年以後、厚生労働省が毎年実施している「国民健康・栄養調査」では、一日摂取エネルギーは1946年の1903kcalから2016年の1865kcalと減少している。これとともに、節食や個食、食品のまとめ買いで、食品ロスは増えている。その中では炭水化物の摂取量は減少し(米の消費は4分の1に)、油脂類の消費が15倍、肉類は13倍、牛乳やバターなど乳製品は28倍に激増した。カルシウム不足はあるが、ともかくも、日本は世界一の長寿国になってきた。
○ 1965~75年頃の日本人の食事は炭水化物、たんぱく質、脂質が非常に良いバランスで優れていたと言われている。その後、今は成人病(癌・心臓病・脳卒中・高血圧症・糖尿病)が増えている。戦前は肺結核などが死因の上位を占めていた。
○ 今日、火葬場にはスプーンが置いてある。カルシウム不足の人の遺体の骨拾いに使われるためである。食品ロスも減らして、栄養バランスのとれた食生活が望まれる。医薬品や医師に頼る前に、セルフ・メディケーションや食生活の改善が先決だから。
○ 細菌には188属 1450種あり、その大きさは細胞を持ち、自己複製能力を持った微生物である。一つの細胞だけの単細胞生物。その大きさは、通常1mmの1/1000の単位であるμm(マイクロメートル)が用いられる。細菌は光学顕微鏡で見ることができる。細菌は細胞を持ち、自己複製能力を持った、単細胞の微生物。大きさは、通常、ヒトの細胞の1/10の大きさ。
○ ウィルスは細菌よりもはるかに小さく、高倍率・高分解能を持つ電子顕微鏡でしか見えない。ウイルスは遺伝子(DNA、RNA)を持つ微生物である。細菌よりもはるかに小さく、1/10以下の大きさである。細胞を宿主にするため、ウイルスは細菌よりもさらに小さい。その大きさは20~450nm。nmはナノメートル、1nmは10億分の1m、言い換えれば。1nmナノメートは1μmミューメートルのさらに1/1000の単位である。細菌のように栄養を摂取してエネルギーを生産するような生命活動は行わない。1901年にヒトに病原性を示す最初のウィルスとして発見されてたのが黄熱病ウィルスである。国際ウィルス学会では約3万種のウィルスを確認している。その中で、哺乳類・鳥類に感染するものは約650種類ある。
○ The Asshi Shinbun デジタル版 2020年9月11記事「ウイルスは人の細胞だけでなく、人の体の中にいる細菌の中にも感染していることが最近の研究でわかってきた。研究者の注目を集めているが、実態はまだよくわかっていない。大阪市立大と東京大のグループは、健康な日本人101人の便の中にある細菌とウイルスの遺伝情報を読み、データベースをつくった。細菌約600種、細菌に感染するウイルス「ファージ」は分類可能なものだけで約450種も見つけた。」
○ 電子顕微鏡 (TEM) は1931年にベルリン工科大学のマックス・クノールとエルンスト・ルスカが開発した。日本では、1940年に大阪大学の菅田榮治が初めて国産第一号、倍率一万倍の電子顕微鏡を完成させている。
根路銘(ねろめ)国昭著 『驚異のウィルス』と 磯田道史著 『感染症の日本史』を基に日本の主な感染症(かつては伝染病と呼ばれた)の歴史をたどっておこう。
古代の天然痘(痘瘡または疱瘡)・・・ 幕末の孝明天皇の死因は当時の医師団の診察では天然痘となっていた。これによって、明治10年には8027名が亡くなった。
明治18―19年には赤痢・腸チフス・コレラが同時的に広がった。北里柴三郎はドイツに派遣され研究を重ね、免疫血清を作った。これによって、破傷風・コレラ・ジフテリアに効く血清療法を発見した。
明治30年代にはペスト(破傷風)が広がった。鼠が媒介しているので、鼠が約123万匹駆除された。
歴史上たびたび襲った麻疹(はしか)・・・ 平安時代には「あかもがさ(赤斑瘡/赤瘡)」と呼ばれた症状は「麻疹」に該当するというのが通説になっている。江戸時代には江戸で、13回発生し、1862年の流行では、約24万人の死者が記録されている。
○ 20世紀に入って、ウィルスの研究が進んだ。ウィルスは天然痘・小児麻痺・インフルエンザ・狂犬病の原因であることが明らかになった。昭和29年にはウィルス抑制因子インターフェロンが長野泰一らによって発見された。ペニシリンなど抗生物質の発見など人類は対抗策も発見してきたが、細菌やウィルスとの戦いは続く。
感染症には、ほかにハンセン病・ペスト・梅毒・天然痘・結核・インフルエンザ・サーズ・マーズ・コロナなど多くがある。人と物の流動が激しくしている。
○ スペイン風邪・・・ 1918―19年世界で流行。推定2500万人が死亡した。埼玉埼玉県ィルスには、エイズウィルス・コンゴ出血熱ウイルス・日本脳炎ウイルス、・インフルエンザ・ウィルス・黄熱病ウィル埼玉県ング熱ウィルス・肝炎ウィルス・新型コロナウィルス等多量に発見されつつある。人間の命を守る課題は何としても強化されなければならない。